少し難しい話になってしまうが、2000年にニューヨークで開催された国連ミレニアムサミットにおいて、21世紀にあるべき国際社会をめざして「国連ミレニアム宣言」が採択された。それによって、これまでの国際開発目標が統合され、ミレニアム開発目標(MDGs)が掲げられた。MDGsには、大きく8つの目標があるのだが、その全てを達成することを目的に、このミレニアム村は支援を受けているのである。このような村はマラウイ国内だけではなく、エチオピア、ケニア、ウガンダなど多くのアフリカの国々でも実施されている。
日本の国際支援は比較的Human Development(人間開発)の視点が強く、資金提供よりも人材育成を優先しているのだが、国連は、貧困の一番の問題は資金不足であり、資金を提供することで、彼らは豊かになるという考え方が強い。そのためか、9月15日のThe Daily Timesの記事によると、このミレニアム村支援プロジェクトは、一人の村人に対して年間の支援費用をUS$110と定め、村人の負担はその10分の1に留めている(偶然にも訪問日に新聞に記事が掲載されていた!)。
私が訪問した村は、US$11を投資した村人がいろいろな支援を受けていた。また村人投資で共同で行なっているのか、雨季前の終了を目指して学校やメイズを蓄えておく食糧庫、小売店などの共同利用できる建物が建設中であった。最初に説明を受けた「プロジェクト対象地域の選別は、貧しいが貧しくないところ」といった意味が見学をしていてよくわかった。どこを訪問しても、村人や子どもたちが歓迎してくれたのだが、彼らの服はボロボロであったり、電気のない家に住んでいたりする。しかし、水や家畜、家庭菜園など多くのものが各家庭に揃っているのである。
よい手本となるプロジェクトサイトを選んでしまった場合、その手法を普及していくときのその他の地域の環境の違いが、プロジェクトの成功の妨げになるのではないかとどうしても危惧してしまう。しかし、ここではプロジェクトの将来についてはおいて置いて、本日の見学の中で「これはイケる!」と勝手に思ったものを紹介したい。
それは、小屋の中で作る“マッシュルーム(茸類の一種)”である。中をビニールで覆って湿度を保っている藁でできた小屋の中に、おがくずなどがたっぷり入ったビニール袋がつるされていた。そこに菌をいれ、朝夕の2回水をスプレーする。すると写真のような真っ白でりっぱなマッシュルームができあがるのである。これを私たちはキロMK400(約250円)で売っていただいたのだが、一緒に訪問したマラウイ人によれば、首都に行けばキロMK3000で売れるとのことであった。マラウイの主食のメイズがキロMK30といっていたので、労力などを考えると女性の所得向上にはとてもよいアイデアだと思った。
私がグアテマラで住んでいた村は、10ヶ月間も雨季がある地域だったので、できるものならグアテマラの友人にこの手法を伝えたいと思ってしまった。そうして、1kgのマッシュルームをお土産に得た私は、帰路で夕食のメニューを考えるのであった。
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