“Time is money”これは、私が我が家のドライバーに伝えた言葉である。マラウイに赴任したての頃、私が外出しない日のドライバーは、1日中寝ているか、ガードマンらとおしゃべりをして過ごし、夕方夫の職場に車を届けるという生活をしていた。私はこれがどうも慣れなかった。日本の友人には「待つのがドライバーの仕事なんだから、待たせておけばいいじゃない」といわれたのだが、だって時間がもったいないじゃない?
ドライバーを雇わない選択肢も考えてみた。私自身、運転できるので毎朝夫を職場に送ることは問題ない。しかし帰りは、その日の仕事状況により帰宅時間が異なるので、何時に迎えにいけばいいのかわからない状態で、毎晩待機態勢で過ごすのは私のストレスになるだろう。しかも夜の運転はカージャックなどに襲われる心配もあるので女性の一人運転は避けた方がよい。そうなると、やっぱり私が昼間に使った車を夕方にオフィスへ届けてくれるドライバーは必要なのである。
ということで、私はドライバーに「この待っている時間を利用して、家の中の仕事も手伝ってもらえるなら、給料とは別にお金を払うけど、どうする?」と聞くようにしている。そしてタイトルに示した言葉を説明するのである。これまで我が家のドライバーは何人か入れ替わったが、皆に家の中の仕事をすることを受け入れてもらっている。
具体的に何をしてもらうかというと、主に単純な作業だけど時間が掛かる“豆腐”作りを依頼している。しかもそれを近所の日本人に売ることで、利益がドライバーのお小遣いとなるようにした。1度に作れる豆腐は2丁分、それを1丁MK150(約100円)で販売し、50%が材料費、残りの50%が彼のお小遣いという内訳である。
この活動は3者にとってとても良いものとなった。まず豆腐を販売する対象を主に一人暮らしの日本人とし、安くてヘルシーな豆腐を提供することで、少しでも健康面に気をつけていただけたらと考えた。首都にある高級ストアー“foodworths”では、真空パックの絹ごし豆腐が一丁MK985(約750円)もするのである。私はこれを見て、賞味期限が切れる前に購入する人が現れるのだろうかと不思議に思ってしまう。次にドライバーは時間を有効利用して給料以外の所得が得られる。最後に、私は家で作業をしている間に、寝ているだけのドライバーにストレスを感じないで済む。という具合である。
そして、最近の急激な温度変化で少し風邪っぴきの私は、今日は家で作業をすることにし、台所ではドライバーが豆腐作りをしているのである。


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