2009年7月3日金曜日

マラウイエイズ学会(本題)


最近、厚生労働省が日本における昨年のHIV感染者と新たなAIDS患者が過去最高になったことを発表した。世界の国々がHIV/AIDS撲滅のためにがんばっている中、悲しいことに日本は感染者数が増加している数少ない国のひとつとなっている。

マラウイでは、どこの地域も盛んにHIV/AIDS撲滅に向けた啓蒙活動が行なわれている。その実績としては、15‐24歳(全体の50%がこの年齢の範囲)のHIV罹患率が2003年に18.3%だったものが、2007年に12.3%に減少したという報告がある。またART(Anti-Retroviral Treatment:抗レトロウイルス治療)を受けている15歳以上の患者が2003年に2,880名だったものが、2007年には108,948名まで増加している。

これらの実績に貢献してきた政府やNGOなどが、この学会の中で、これまでの活動紹介や調査の発表をしたと言えば、興味深い内容であったことを理解していただけると思う。私は、マラウイでボランティアをするまで栄養士としてHIV/AIDSの方たちと関わったことがなかったため、この学会は情報収集として大いに役立った。

また、発表後の質疑応答も熱心な視聴者により、面白かった。例えば、ひとりの発表者がTBA(Traditional Birth Attendants:伝統産婆さん)に母子感染予防の役割を担ってもらうための教育や教材の提供について活動報告を終えると、視聴者の中のクリニックスタッフの一人が「私たちは家庭でのお産から、クリニックでお産をするように促している(つまり、その活動は方針と反している)」と意見を述べたかと思うと、その発表者は、クリニックの受け入れ態勢が整っていないことの問題点、例えば部屋やベッドが不足し、廊下に地かに座って待たされている妊婦の現状等を指摘する。この様にいろいろな視点からの意見により、私は現状を知ることができた。

その他に私が気になったものは、政府の方針として、地域で選ばれたボランティアに家庭訪問をさせてその場でエイズ簡易検査を促す活動があった。これは、政府系クリニックで無料でエイズ簡易検査ができるにも関わらず、受診者数が増加しないことへの対策である。私はエイズの診断は、マラリヤや風邪の診断とは違いもっとセンシティブな問題であると考えるので、果たしてそのような重要な役割を地域のボランティアに担わせていいのだろうかと疑問に思ってしまった。このようなボランティアの役割については、ザンビアなどでも物議を醸し出しているとのことなので、もっと調べてみようと思った。

この2日間の学会は、HIV/AIDSの方たちのために栄養士として貢献できることは何か、これからも勉強していきたいという意欲が湧く機会となった。

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